おじぎ

 たまたま通りかかった通りで、お年を召した女性が、タクシーに 

向かって何度も何度も深くおじぎをしていらっしゃいました。 

見ると、小さな身体に、いくつもカバンと袋を抱えておられます。 

立っておられる所は、病院の前でした。 

お身内の方がどなたか入院されているのでしょうか。 

あれこれと入院の為の物を急ぎ家から持って駆けつけたのでしょうか。 

一人で立っておられるところを見ると、とにかく一人でなんとかしなくてはならない状況なのでしょう。 

あれだけの荷物を、あのご年齢で、しかもお一人で持ってく来るとなると、やはりタクシーに頼らざるを得ません。 

タクシーを降りた後も、ずっとタクシーの運転手さんに何度も頭を下げてお礼を言っているようでした。 

運転手さんも同じように頭を下げておられます。 

そして・・・・・ 

タクシーの姿が見えなくなるまでずっとおじぎをしながら見送っておられました。 

タクシーはまるで照れたかのように、すぐそばの小さな路地に入りこんでしまいました。 

ちょっと見とれてしまいました。 

何があったかはわかりませんが、あのお年を召した女性にとっては、本当にありがたいことがあったのでしょう。 

助かる事があったのでしょう。 

おじぎを何度も何度もしたくなるほど感謝していたのでしょう。 

事情はわかりませんが、とてもあたたかな気持ちになりました。 

家を造ってくれる大工さんに対して、 

私は同じ思いになります。 

汗を流し、その手で、そこに住む人の安全と安心と幸せをカタチ創ってくれるのですから。 

そういえば、あのタクシーの運転手さんと同じようです。 

お礼を言うと、すぐに照れて、いなくなっちゃう。(笑) 

もっと好きになっちゃいますね🎶 

こどもの日

 5月5日のこどもの日。 

3月3日のお雛祭りと違って、元気ハツラツな感じがします。 

鯉のぼりも、蓮華畑によく似合っています。 

 考えてみると、日本では毎月毎月、季節の行事がありますね。 

昔は子供の命が今よりも儚いものであったのかもしれません。 

毎月、毎月、元気で育ってくれることにとても感謝し、何がしかの形で家族でお祝いする風習が、季節の行事になっていったのかもしれません。 

 春祭りの「だんじり祭り」がありました。 

神輿を担いで、宮入りするまで、激しくぶつかったり、お互いを称えあったり・・・・。 

男の祭りの色が濃いのですが、最近は女性の参加も多くなったようです。 

皆で団結して、声を出して、「ワッショイ、ワッショイ!」 

日暮れ時の提灯が舞い始める時刻はなお一層 

風情があっていいものです。 

小さな子供が、お父さんの肩車してもらい、お父さんの頭をしっかり掴んで、食い入るように神輿を見る子供の横顔は見ているだけでこちらまで幸せな気分になります。 

 子供の成長を育み、子供の幸せな顔を見ることがより一層幸せだと感じられるような住まいを創っていきたいものです。 

ゆる~い約束

 実は、一年に一度だけお会いすることを約束している方がいます。 

その日に会えたらいいし、会えなくてもいい。 

それまでお互いにその日のことを確認することもしません。 

行けなくなったとか、都合は大丈夫ですか、とか、そんな連絡もしません。 

その日、会えたらよし。 

そんなゆる~い、「一年後にまた会いましょう。」という約束が9年間続いています。 

来年は10年になりますから、お互いに10歳年を重ねたことになりますね。 

2回、会えなかった年があります。 

でもその1年後にはまた会えたり、と、不思議にずっと続いているのは、ゆる~い約束だからでしょうね。 

地元の大工さんにお世話になると、そうしたゆる~い約束が続くような気がします。 

契約書なんてなくても、1年に一度会えるか会えないかでも、ずっと忘れない。 

そんな関係が続けられる方に家を任せられたらとても幸せだと思います。 

セクレタリー

「おはようございます。よくお休みになれましたか?」
「今日のスケジュールですが、朝○時から、○×○×。その後、△※△※。そして昼食。
そうそう、今日は体調に合わせて、お魚料理をオーダーしておきました。」
「今日は日差しが強いですね。カーテンをおろしておきましょうか。」
「昼食後のお散歩はどうされます?ご一緒しましょうか?お一人の方がお気楽ですか?(笑)」
明るくて笑顔が素敵な人の声が心地よく部屋に響きます。

・・・セレブな方の毎日なんだなぁと思いますよね。うらやましい。毎日こんな風に接してくれる人がそばにいてくれたら、毎日がもっと楽しいかも・・・なんて思ったりします。
実はこれ、先日入院した父の病室で聞いていた会話です。

豪華な病室ではありません。普通の病室です。
病院ですから、できれば行きたくない場所ですし、行ったとしても早く家に帰りたい場所であるはずです。
なのに、笑顔とこんな言葉がけだけで、部屋の空気が一変します。

素敵な部屋の最後の仕上げは、やっぱり笑顔と笑い声なんですね。

えんぴつ

 近頃使わなくなったものに「えんぴつ」があります。 

初めて筆箱を買ってもらった時、削りたての長い鉛筆を並べながらとてもドキドキした気持ちになったのを覚えています。 

中学に入るとシャーペンなるものが登場し、大人っぽくてそれは憧れのペンになりました。 

しだいに鉛筆を買うよりも、シャーペンの芯を買うことの方が多くなりました。 

高校生になると万年筆を持つようになりましたが、消すことができないこともあり、手紙を書く時に緊張して使うくらいになってしまいました。 

そして今では、フリクションという、消せるインクのペンを愛用してしまっています。 

ペンのようなインクでありながら消せるのが助かるのですが、う~ん、ずいぶんと横着になってしまったなぁと心の奥がチクリと痛い感じです。 

書き換えできない、書き損じると最初から書き直し。筆もボールペンも万年筆も、全て書き損じたら消すことができませんから、最後の一行を書き損じた時の自身への腹立たしさは言葉にできません。 

家づくりも同じ。 

工事がスタートしたら、書き損じ(手直し)は許されない! それくらいの気持ちで打合せをしなくっちゃ。 

『言った』『言わない』事件

よくありますよね。 

『言った』『言わない』事件。 

「明日はお弁当はいらないから」 

翌日。 

「いらないなんて聞いてない!作ったじゃないの!」 

「ちゃんと言ったよ!」 

「聞いてない!」 

「明日はゴルフだから。」 

「えっ⁈ みんなでバーベキューするって言ったじゃない!」 

「そんなの聞いてない! それに聞いていたとしても仕事だから。」 

「いつもそう言うから、だから先に確認して、ご近所の皆さんに調整してもらったんじゃない!」 

本当に数え上げたらきりがないほどありますね、こういうこと。 

普段の生活の中ではまぁ、痴話げんか(?)くらいですみます。 

どちらから先に謝るか、がポイントぐらいのことでしょうか。 

しかし、30年以上の住宅ローンを組んでの『家づくり』では、そうはいきません。 

なにせ、出来上がってしまって、そこでずっと暮らすのですから。 

作り直してもらう? 

それはそれで、『言った』『言わない』をちゃんと証明して、作り直す費用を出してもらわなければ、直してもらえません。 

自分で追加でお金を支払えばいいですが、大工さんにとっては面白くありません。 

せっかく汗水流して作ったのに、壊してやり直すのですから。 

さて、 

ずっと相手のせいにし続けますか? 

実は私は、少しだけ簡単に勉強して、自己防衛しちゃうことも大切かも、と思っています。 

 不思議なもので、草がサワサワと生えていると、美しいなぁと思ってしまいます。 

時にやんちゃな草もありますが、それだけを丁寧に抜いてやれば、美しい景色になります。 

時には、ポツンと花が咲いたりして、きっと鳥が種を運んで落としたのだろうと思ったり・・・。 

落とされた場所を良しとして、可憐に花を咲かせていると、愛しい気持ちになってきます。 

その花は次の年もそこに花を咲かせます。 

雪のふる場所では、冬は雪の下に入り、雪解けと同時に元気に新緑の首を伸ばして、最初は産毛の様に、次はしっかりと首を立ててサワサワと風に吹かれます。 

草を邪魔もの扱いして、生えてこないように除草剤で片付けるのもよいのですが、時には楽しんでみるのもよいのではと思います。 

雨のしずくにも負けず、「きれいだね。」とささやかれることもなく、それでも毎年しっかりお日様に向かって顔を上げる姿はほほえましくさえあります。 

アスファルトで塗り固められた大地より、草がそよそよと揺れる大地の方が私は好きです。

 

 最近改めて気づいたことがあります。 

「風」って気持ちいいなぁということ。 

何をいまさら・・・と笑われるかもしれませんが、窓を閉め切りにして、温度・湿度を管理された中で過ごす時間が一日の大半であると気づかされたのです。 

換気に留意し、窓を開ける。 

さわさわ・・・と気持ちの良い風が頬をすべっていく。 

なんだかとても気持ちが良く、また穏やかな気持ちになりました。 

風が通り抜ける室内でいただくお弁当もいつもと違う感じがします。 

おにぎりがいつにも増して美味しく感じます。 

風がそよそよと吹いている場所で怒るのはなかなか難しい。 

もし家の中にそよそよと心地よい風が吹いていたら、お母さんの疲れも少しは癒されて、 

「コラッ!片付けなさい!」というところが、 

「ほらぁ、片付けた方が気持ちいいわよ~♪」 

に変わるかもしれません。 

「いやぁ、うちのママはそんなに甘くない。」な~んて声が聞こえてくるのは風のせい? 

法事

 

※このブログは2020年以前に書かれたものもアップしています。

法事で親戚が集まりました。 

亡くなった叔父を偲んでの集まりですが、長寿であったこともあり、皆和やかな顔。 

「まぁ、お久しぶりね〜。まだ赤ちゃんだった頃の事を覚えているわよ〜。」 

「はい、おかげさまでこんなに大きくなりました。(笑)。」 

還暦前の年代とも思えない会話も笑いながら弾みます。 

普通の民家での法事でもあり、他の予備のお部屋もなく、またずっとお世話になっている和尚さんでもあったので、 

「では、失礼してここで着替えさせて頂きます。」 

恐縮する親戚に対して、ニコニコと、「構いません。少しお待ちください。」と言って、和尚さんのお着替えが始まりました。 

その所作の美しいこと。思わず見惚れてしまいました。 

スルスルと、半畳のスペースでお経をあげて頂く着替えが終わりました。 

鏡もなく、隅のスペースで、本当に見事だなぁと感じ入ったのです。 

着た姿が美しい時は、着方の所作も美しいのだと思いました。 

現場が美しい時は出来上がった家も美しい。 

大工さんの所作に無駄がなく美しい時は、家も美しい。 

なるほど通じるところがありますね。

『癖』、いろいろあります。
 やめようと思ってもついつい・・・・・。
やめられない癖ってありますよね。

つい本を買ってしまう。
私の場合これも癖です。
なので、油断すると本はあっという間に増えてしまいます。本に囲まれた暮らしはとてもいいのですが、増えすぎてしまうと・・・。
捨てられなくて古本屋さんにもって行ったりするたびに、いただく硬貨の数にちょっと悲しくなるのも正直な気持ち。
そんなにメソメソするなら図書館を活用したらよいのです。
わかっちゃいるけど、つい・・・。
先日も、先輩に薦められた本を見かけました。
全6巻。1冊づつ買えばいいものを、(いつ買えるかわからないし、読み始めて途中が抜けて読むのが中断するのも嫌だし・・・。)などと自分に言い訳して、また、買っちゃった・・・。

 どうしよう・・・。本棚の整理・・・。
残す本の選抜をまたしなくちゃいけない。
家を整理整頓するには、まず自分の癖を発見することから、ですね。