蚊帳

ふと夏の夜を思い返した時、蚊帳を思い出しました。 

夜、お布団を敷く時、蚊帳を吊ってもらうととても嬉しくてよくはしゃいだものです。 

「中に入る時は、パタパタと周りを叩いて、サッと小さくなって入るのよ。 

ほら~、蚊が入っちゃうじゃないの。」 

こんな風によく叱られたりしながら、それでも従妹同士でじゃれ合うように蚊帳の中で遊びました。 

中に入れた扇風機が首を振るたびにふんわりと蚊帳が揺れて、それを眺めているといつしか眠りについていたような気がします。 

蚊帳の中は暑かったように思いますが、風が抜けると心地よくひんやりして、なんとも風情がありました。 

窓の外から虫の声や、川のせせらぎの音が聞こえて、それも気持ちの良い眠りにつながっていたように思います。 

窓を開けはなして寝るなんて都会の生活では考えにくくなりましたが、時には田舎で蚊帳の中で眠ってみたいなぁと思いました。 

住まいは基地局

雨の日が続くと、ついつい外に出ることが億劫になりますね。 

コロナ禍の中では特にそうなってしまいます。 

家の中に自分の居場所があちこちにあって、その時の気分で居場所を変えることができると、随分と気持ちも変わります。 

とはいえ、あれこれ条件のある自分の住まい。 

なかなかテレビのコマーシャルのようにはいきません。 

(そもそも、あんなにかっこよくて、家事もやってくれる優しい男性はそうそういません。 

・・・これは男性側も同じように思っているかな?) 

だったらいっそ、その町の様々なインフラも、全部自分の広~い家の一部だと考えてみるのはどうでしょうか。 

プール? 歩いて15分? いいですねぇ。市民プールでお安い? なおいい♪ 

キャンプ施設? 車で30分? 毎週キャンプに行きたくなりますね♫ 

温泉? 車で50分? 贅沢ですね~♪ きっとお肌つやつやですね。 

川? 歩いて10分? いつでも川遊びができるんですね。 

山? 歩いて25分? スポーツジム行くより痩せるかも????? 居酒屋に寄っちゃう? それでは痩せられません。でも健康的! 

な~んて、自宅の周りをそんな風に見直してみると、住まいは「基地」みたいなものかもしれませんね。 

そんなふうに考えると、小さなコンパクトな家も悪くないと思えたり・・・。 

遠くへ旅行することは難しくても、地元をめいっぱい楽しむことも素敵です。 

大切な人達と行く場所をあれこれと想像して計画をたてる時間も楽しいものです。 

日傘

日傘を持つのは少し恥ずかしいような面映いような気持ちがありました。 

自分はそんなガラじゃないし、このガサツな性格には似合わない。 

雨が降っても「えい!」とばかりに濡れていくし、折りたたみ式の安価で軽い傘をやむを得ない時に限りさすくらいで、無頓着この上ありません。 

(それに傘はすぐどこかに忘れてきちゃいます。。。反省) 

そういえば昔、母も日傘をさしていました。 

近所にちょっと買い物に出る時も、日傘と籐で編んだ買い物かごを腕に下げて出かけていました。 

先日強い日差しの中での仕事がありました。 

知り合いが持っていた日傘を「ちょっとこれ、さしてみたら?」と手渡してくれました。 

断るわけにもいかず、お礼を言って日傘を受け取り、日傘の下に入った瞬間、驚きました。 

体感温度がぐんと下がったように思いました。 

「あっ、涼しい!」 

ほらね、と知り合いは笑いました。 

日傘をさした時とそうでない時の温度はとても違います。 

あたりまえのことですが、体感して理解することと、頭だけで理解した気になっていることは違いますね。 

断熱効果のある家のことも、やはり頭で理解しているだけでは私の日傘と同じ。 

体感することが大切だなぁと思いました。 

冬暖かく、夏は涼しい家ってどういう家かなぁと、改めて考えてみようと思います。 

日傘に教えてもらいました♪ 

洒落た日傘、買いに行こうと思います。 

水色のホース

暑くなると必ずといっていいほど、昔の夕方のことを思い出します。 

蝉の声が少し落ち着き、お父さんたちが仕事から帰ってくるのを待つ間、当時の子供たちには割り当てられた仕事がありました。 

そのひとつが家の前の水撒き。水色の巻かれた長いホースを水道につなぐと、生き物のようにくねらせながら水を先っぽから弾き出すのを声を上げて楽しみました。思いもよらないところに水を吐き出す水色の動物のようでした。 

水玉のワンピースにサンダル履き。サンダルにはねた水と、水にはじかれた地面の土がくるぶしあたりにはね上げてくるのですが、それもチクチクして楽しいものでした。 

水をまくと土を炒ったような、芳ばしい匂いが地面から立ちあがり、その匂いは今でも記憶に残っています。 

ホースを高々と上げて、空のどこまで届くか試したり、もちろんアーチ型にしてその間をくぐりっこしたり、思いがけず虹ができて歓喜の声を上げたり・・・・・。 

地面には、水で土がはじけた王冠の形が残り、 

それを踵で踏んで歩くのも楽しいものでした。 

たいがい、「もう、いいかげんにしなさいよ~。水遊びするんじゃありませ~ん。」という晩ご飯の匂いと一緒に母の少し怒ったような声がやってきて、水撒きは終わって片づけに入らなくてはなりません。 

水色のホースをくるくると回してまとめるのですが、水をちゃんと出し切っていないと次の日が大変。そういえば、わざと水を残して妹が次の日にホースを引っ張ったとたんに水が飛び出し、泣かせた結果、母に叱られたことを思い出しました。 

 不思議です。こんなことを思い出していると、少し涼しい気持ちになってきました。 

夏の玄関

 今年の夏も厳しい暑さになりそうですが、一番うんざりするのが暑い家の玄関を開けた時。 

あのムッとする暑さと熱気には疲れが増す思いがしますね。 

そういえば幼い頃ってこんなに暑かったかしらん。 

思い返して、驚きました。 

鍵がかかっていなかった・・・・・。 

買い物に出ているのか、ご近所さんとの立ち話に忙しいのか、誰もいない家に帰ると、玄関扉は開け放たれ、網戸扉が虫よけに閉まっていました。当然、中に人がいないのは外からでも暫く見ていればわかります。 

家の中の暖簾がゆらゆらと風に揺れていて、風が家の中から吹いていたのを覚えています。 

もちろん、風鈴もいい音をたてていました。 

 昔は昼間、鍵をかけていなかったのですね。少なくとも我が家と、我が家のご近所さんは・・・・・。 

町内全体がセキュリティーの役目を果たし、 

泥棒には具合の悪いことだったでしょう。 

窓という窓は全て開け放たれ、風が通り抜ける家が並んでいる、そんな風景でした。 

ある意味プライバシーもなかったと言えます。 

お母さんに叱られていること、晩ご飯のメニュー、見ているテレビの番組まで家の前を通る人達には全て筒抜けでしたのに、そのことを不思議にも思いませんでした。 

部屋に嫌な匂いがこもることもなかったように思います。 

昔の夏の玄関を思い出すと、風鈴の音と、吹き抜ける風が一番に頭に浮かびますが、 

 今の子供たちは、将来どんな風景として今を思い出すのでしょうね。 

夏 小川千賀子 ブログ

夏の匂い

 蝉の声、特に大勢、いえ、多匹(?)の大合唱に「わかった、わかった。」と思わず笑いそうになることってありませんか? 

(本当に笑ってしまうことがあって、困ってしまいます。) 

そんな蝉の声を聴くちょうど同じ頃、玄関の扉を開けたとたんに、「あっ、夏の匂いだ。」と思う瞬間ってありますよね。 

特に土の匂いが濃くなった時に夏の匂いだと感じるような気がします。 

 夏の匂いを感じる時を頭に浮かべてみました。 

・蚊取り線香の匂い。・すいかを割ったq時の甘いけど少し青っぽい匂い。・線香花火の匂い。プールの塩素の匂い。・ゴザの匂い。・すだれの匂い。・かき氷の匂い。・浴衣の匂い。・韮の匂い。・茗荷の匂い。・焼きナスの匂い。(おやおや、食べ物の匂いになってしまいました。) 

 最近の暮らしの中で、季節の匂いにつながるものって何でしょう? 

ゲームも、携帯も、タブレットも、多くの物を見せてくれ、世界は広がったのですが、体感しないとわからない「匂い」というのは、なかなか再現できないようです。料理の匂いがタブレットから出てきたりしたらすごいですね。 

そういえば昔、擦るとオレンジの匂いが出るしおりとかありましたね。 

生活の中で次の世代に体験として残せるもの、 

少し真面目に考えていかなくてはと思います。 

夏の匂い 小川千賀子 ブログ

おでん

※このブログは2020年以前に書かれたものもアップしています。

 仕事帰りに、頭をクールダウン。 

これって、呑みに行く言い訳のようですが、度を越さない程度なら逆にぐっすり眠れる効果もあるとかないとか・・・。 

 夏に「おでん」なんて、頭をクールダウンするどころか、身体が熱くなりすぎるんじゃない?と思ったのですが・・・・・。 

なんと、「冷やしおでん」というものに出逢いました。 

冷たく冷やされた器に、夏野菜の、とうもろこし、トマト、ししとう、茄子、大根、糸こんにゃく・・・・・。 

彩も美しく、美しい出汁に、しゃりしゃりとした出汁を凍らせたシャーベットがたっぷり・・・・・。 

出された瞬間、 

「きれい~!美味しそう~!」 

と、思わず口にしてしまいました。 

ひんやりと冷たく、出汁が聞いていて、本当に美味しいおでんでした。 

食べるのが惜しくなるくらい美しいおでんでした。 

同じものでも、出し方によってここまで変わるものなのだと感心しました。 

日本人のおもてなしの心、あっぱれ!ですね。 

おでん 小川千賀子 ブログ

骨董品

 

※このブログは2020年以前に書かれたものもアップしています。

 旅先で骨董品を扱っているお店があるとついつい入ってしまいます。 

徳利や、お茶碗、小皿、花器、色々見ているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。 

つい、(ひとつだけ)、と買ってしまうのも楽しいことです。 

ある骨董品屋さんで小さな美しい箱を見つけました。きちんと包みまである。これは何だろうと中を見せていただくと、小さなお茶をいただく一式が並んでいます。 

茶筅も可愛らしく収まっています。 

茶器も棗も小さいのですが、一人前、いえ、それ以上の品格をもって箱の中に鎮座しています。 

その美しさと可憐さ、可愛らしさに思わずため息が出ました。 

「山や、川に遊びに行くとき、これを持って行き、着いた先でもお茶を楽しんでいたようですよ。」とご亭主。 

和風ピクニック、といったところでしょうか。 

こんなおしゃれなことに御呼ばれしたら、いそいそとついて行ってしまいます。 

暮らしの中にあった楽しい営み、そしてそれがカタチとして残っている尊さをしみじみと感じました。 

骨董品 小川千賀子 ブログ

うふふ、な話。

 嬉しかったです。 

だって、具体的にモデルルームになっていたのですよ。 

モデルルームで。 

私たちの、「あったらいいな。」が。 

『女性の生活目線で考えた、99%失敗しない家づくり』の本で、東京、名古屋、大阪、神戸と多くの主婦たちが集まってワイワイガヤガヤと話した中で、こんなのが 

あればいいなぁと言っていたのを、本を読んで下さった会社の社長さんと、スタッフの皆さんが、「これ、いいですね!やりましょうよ!」となったそうです。 

いやぁ〜、嬉しいです。本当に嬉しいです。。 

しかも、しかも、ですよ。 

お客様の反応がとても良くて、よくご採用いただいているようなのです。 

やった〜!!!!! 

やっぱり、具体的なカタチになって、モデルルームをご覧になったお客様からも評価されている事って、しびれるくらい嬉しいものですね〜。 

だから、「うふふ」です。 

思わず笑みがこぼれちゃいます。 

生活のプロである主婦の話しは、家づくりには欠かせませんね。 

最近では益々、ママ達とつくる家づくりプロジェクトがあちこちで始まっているようですが、とても嬉しい事です。 

いろんな意見を設計者がクルリとまとめてカタチにしてくれる。 

主婦のみなさ〜ん、 

益々パワーアップするためにも、インテリアデザイン、一緒にお勉強しましょうね〜! 

うふふ、な話。 小川千賀子 ブログ

お稽古

 最近知り合いの方がチェロを習い始めました。 

楽器の生身の姿には迫力があります。 

ましてや触ることができ、身体の芯に響く音を奏でて自ら聞くことができるのは、厳かな気持ちにさえなります。 

こんなお稽古ごともいいものですね。 

 つい、自分がお習字を習い事とし、毎週お稽古に行っていた時を懐かしく思い返しました。 

墨の匂い、半紙の香り、紙の上を筆が滑る音。 

全てくっきりと覚えています。 

思えば字の書き方を教えていただく以外にも教わった事はたくさんあります。 

静座の仕方。姿勢。先生、先輩への口の聴き方。お礼の言い方。片付け、掃除の仕方。書き損じた半紙の扱い方と利用方法。 

お稽古事にも日本では昔からSDGsの理念がしっかり盛り込まれていたのですね。 

そしてそれは、普段の暮らしの中にも根付いていったのだと思います。 

おうち時間が増えている昨今。 

さて、私は何のお稽古を始めましょうか♪ 

お稽古 小川千賀子 ブログ