駄菓子

小さな古民家を改装した美術館で声をかけられました。 

「こっちで写真をやっているから見てくださ〜い!」 

小さな男の子の声でした。 

「そうなの?どこに行けばいいの?」 

可愛らしい手で私の手を引いて 

「こっち、こっち♪」 

そこは小さな蔵があり、 

その中に入ると、見事な雪国の写真がたくさん展示されていました。 

どうやらお父さんの個展のようです。 

思わず絵葉書を3枚買いました。 

その後、男の子はお土産コーナーに連れて行ってくれました。 

「クッキー美味しいよ♪」 

「そうなんだ。どれがおいしいの?」 

「えっとね〜、これと〜、これと〜、これと〜、これと〜・・・・・。」 

どうやら全部おいしいと伝えたいようです。 

思わず、 

「じゃぁ、案内してくれたお礼におばちゃんが買ってあげる。どれがいい?」 

「えっとね〜、これと〜、これと〜、これと〜、これと〜・・・・・。」 

おっと、全部おねだりされそうです。 

慌てて、 

「これとこれとこれでいい? 一番大きいのを3つね。これでいい?」 

「うん♪」 

「お父さんとお母さんと3人でどうぞ。」 

「ありがとう!♪」 

私の姿が見えなくなるまで、ずっと大きな声で「ありがとう!」と言ってもらい、こちらが照れ臭くなってしまいました。 

古民家を使った美術館、とても幸せな時間をいただきました♪ 

駄菓子 小川千賀子 ブログ

空っぽ


 
 先日、クローゼットの中を大リストラ!

気に入って買ったはずなのに、もう2年以上着ていないもの。
いつか着る機会があるだろうと思い続けた結果、ちっとも着ていないもの。
 とても高い服なので、今日着るのはもったいない。今日は雨だから他の日に・・・、と思い続けて、結果着ていない。(この場合は人によって個人差がありますよね。私が幼い頃は、『よそ行き着』などといって、いい服を普段着せてもらえなかったのですが、その慣習が未だに身についてしまっています。)

・・・・・などなど、
それなりに理由はあるのですが、それをそのままにしておいたために、クローゼットがパンク寸前。
意を決して、
「よ~し!」と思いきることにしました。

まずは、クローゼットを空っぽにする。
そして、一年着続けているものをまず中に。
それ以外のものは、原則処分。
買った時のシーンや思い入れが心に浮かびますが、2年以上着ていないものはどんなに新しくても思い切って処分。
考えてみれば、捨てない限り増えることにしかならないのです。あたりまえですが・・。
買う前に捨てる。
う~ん、それがなかなかできないのですよね。

空っぽ 小川千賀子 ブログ

親孝行

親孝行

したいと思っていても、なかなかできないのが親孝行。

そもそも、若い頃は血気盛ん。親の言うことも先生の言うことも聞かない。
先輩の話が一番でした。

無我夢中で走っていたら、親が想像以上に歳をとった存在になっていると気付くのですね。振り返る余裕が無かったから仕方ないのでしょうけれど、年をとった親を見つめる自分はどこか良心の呵責のようなものを感じます。

欲しいものはない。
行きたいところもない。
子供に迷惑をかけたくない。
いつまでたっても子供のことが心配。
子供のためになるなら、どんなことも喜んで。

私はそんな父と母のようになれる自信はありません。

でも、できることが一つありました。
父と母が私を育ててくれた、暮らしを守ってくれた『家』を大切にすること。

いいものでは無かったかもしれませんが、若かった父と母が子供のために必死に造り、護った『家』です。

言葉は照れくさくても、想いは通じる。
『家』を大切にすることは、『ありがとう』を伝えること、なのかもしれませんね。

親孝行 小川千賀子 ブログ

小さなおむすび

 小さな女の子と一緒の時間を過ごしました。 

まぁ、なんと愛くるしいことか。 

みんなで食事をしたのですが、彼女はまだ大人が食べるものを食べることはできません。 

でも、お母さんが手作りの小さなお弁当を作って持ってきていました。 

お弁当箱を開くと、小さな小さな丸いおむすびが8個。彼女は先の丸くなったフォークで 

上手に小さな口に運んで、パクリ。 

その度に、周りから「じょうずね~!」と拍手。それがまた嬉しくて、はじけるような笑顔を見せてくれます。 

それにしても、10円玉サイズの丸いおむすび、よく作れたなぁと感心しました。 

彼女があんぐりと開けたお口のサイズにピッタリ! 

パクリ、パクリと食べるその姿のほほえましいこと。 

みんなこうして大きくしてもらったんだねぇと、自分や子供の昔を含め、ほのぼのとあたたかな気持ちになりました。 

「小さいことはいいことだ。」 

人生の後半戦に入った私だから感じる事なのかもしれません。 

小さなおむすび 小川千賀子 ブログ

「太ったり、痩せたり!?」

「太ったり、痩せたり。」なんて聞くと、すこしドキッ!としますよね。
でも、太ったり、痩せたりするんです。家電は…。
「ああ、そういえば…。」と得心された 方も多いのではないでしょうか?
テレビはここ数年で幅も、薄さも大幅に変わりましたよね。テレビを収納した造りつけのテレビボードをしつらえてしまった人は、困っています。例えばテレビを買い替えようとすると画面がワイドになった今では、小さい型にしなくてはならなくなったり、薄くなったのは嬉しいけ れど、奥の空間が随分空いて無駄な空間になってしまったり・・・。
テレビだけではありません。冷蔵庫もそうです。キッチンの扉材と同じ扉に して、冷蔵庫を組み込んでとても端正なキッチンセットにしたのに、容量の大きな 冷蔵庫に買い替えようとしたら、サイズ が入らないなんてこともよく聞きます。
「女心と秋の空」とはよく言われる ことですが、「家電サイズと秋の空」かもしれません。
特に最近は家電の進化が目覚ましくなりました。家電はこれからも姿や大きさをどんどん変えて進化させていくと思います。
家電を空間に取り込む時、以前は10年位のサイクルで考えれば良かったのですが、これからは3年から5年位のサイクルでメンテナンスや買い替えを考慮してプランしなければなりませんね。
年数を重ねるごとに、太る方へだけ 進化してしまうわが身は、家電を見習いたいものです

太ったり痩せたり 小川千賀子 ブログ

旅支度

※このブログは2020年以前に書かれたものもアップしています。

古い付き合いの友人達と、久しぶりに旅をしようという話になりました。

「いつにするか」
春がいいのか、夏にするか、秋にするか、冬もいいねと、自分達の仕事の都合と調整しなくちゃ。これが一番難しい。こっちが合えば、あっちがダメといった具合。

「どこに行くか」
実はどこでもいい。
ずっと喋っているに決まっている。(笑)

そんな感じで、決まった旅は一泊二日の弾丸旅行。

欲張りで盛り沢山の予定をタクシーに託して、どんどん廻る。
一風呂浴びて夕食に出かける、なんて、とても贅沢!
お風呂上がりのスッピン顔での外出も全く気にならない年齢になりました。(笑)

笑ったり、しみじみしたり、ちょっとホロリとしたりで、あっという間に2日間が過ぎてしまいます。

お世話になった宿のお部屋、
沢山のお客様の笑いや感動や涙を吸い込んでいるのでしょうね。

我が家の部屋達もそうだなぁと、寡黙ながら優しく包んでくれる我が家に感謝。
いつもありがとう。❤

旅支度 小川千賀子 ブログ

外科医

現場で見る職人さんたちは、めちゃくちゃカッコイイ! 

しびれます。 

今日中にやらなくてはいけないことは、文句ひとつ言わず、黙々と身体を動かします。 

「うわ~っ。この幅にこれがうまく入るのかしら?」 

と心配していても「せーの!」の掛け声でピッタリ!! 

(これがまた、テノールのいい声でハモるんですよね~♪) 

先日、こんなことがありました。 

ガタついている家具を、数人の職人さんたちが持ち上げて調整するのですが、 

小さい家具の中に潜り込んで作業をしなければならない箇所がありました。 

まだ若い職人さんでしたが、急にズボンのベルトをパッと抜き取りました。 

後輩が、「なんで?」と尋ねると、「家具を傷つけるから。」と言うなり、潜り込みました。 

いや~、カッコいいです!しびれます! 

金ざしを当てて、サッとラインを引き、電動ノコギリでサーッと切り、同時にアシストする職人さんが、木くずを吸引。 

「カンナ!」「はい!」と道具の渡し方も、無駄なくスピーディ。 

(あれ?この感じは、どこかで見たような…。) 

そうです!テレビドラマに出てくる外科医の手術シーン!! 

そっくりそのままです。 

人の身体を治す人と、家の身体を創る人。 

同じなんですね。 

サッとベルトを外した職人さん。 

まるで小さな赤ちゃんを診る時に、腕時計を外す小児科の先生のようだと思いました。 

外科医 小川千賀子 ブログ

塵も積もれば

 ご年配の大将と女将さんの二人で切り盛りしているお寿司屋さん。 

古くからやっておられるお店です。 

見ると、隅っこにあるテレビの横に感謝状が飾られていました。 

宛名が『○○寿司に来られるお客様御一同様』 

となっています。不思議に思ってうかがうと、 

「お客様がお釣りはいいよと言ってくださるお客様の名前と日付をポチ袋に入れて棚板に1年間貼っておいて、一年たったらそれを寄付するんです。 

これでも1年で4万以上になるんですよ。 

10万円を超えた年もありました。 

始めてもう35年以上になりますが、領収書を合計したら400万円以上、寄付していました。(笑) 

『塵も積もれば山となる』と言いますが、本当ですね。 

自分は何もしていないんですよ。(笑)」と 

笑いながら仰られましたが、私には同じことができなかったと思います。 

暮らしの中には、こうした小さな愛情のような積み重ねが多く存在していて、気づいている人とそうでない人との間には、何か豊かさの違いのようなものがあるのかもしれません。 

塵も積もれば 小川千賀子 ブログ

親子げんか

「だから、その前にちゃんとしなきゃダメ!」 

「ダメダメばかりで、じゃぁどうすりゃいいんだ!」 

「この前も言ったでしょ?」 

「聞いてない!」 

 わかっちゃいるけど、つい言ってしまう。 

他の人なら知らんぷりしてやり過ごせる事がいちいち気になる。 

認めているのに、つい注意ごとを追加で言ってしまう。 

わかっているんですけどね。 

ちなみに、これ、同僚との話しです。 

(あっ、言葉は多少脚色していますが、要はこういうやり取りです。) 

知らない間に同僚との年齢差が親子以上に離れていました。 

びっくりです。 

親子げんかみたいだと思ってしまいます。 

お互いの存在がとても大切で深いと信じきっているから成り立っているとも言えます。 

友達同士でも、ここまで言わないかもしれない、と思います。 

仕事を通しての議論だから。 

お互いに年齢差を超えて真剣だから。 

だからいいのでしょうね。 

家づくりの時、夫婦げんか?のようなことが繰り広げられます。(笑) 

喧嘩のようで喧嘩でない。 

そんな風景に微笑ましさを感じる今日この頃です。

親子げんか 小川千賀子 ブログ

 

階段

階段のある家が好きでした。

小さい頃は、階段の途中から見下ろす景色がその段ごとに変わって面白かったものです。
大人の頭の高さを超えていく感じも、ちょっと偉くなったような気持がしたものでした。

 もう一つ階段で好きなものは、階段を駆け上がるあの音。
タンタンタン!と、勢いよく駆け上がるあの音が大好きでした。

「静かに上がりなさい!」とよく叱られたものでした・・・。(笑)
勢いあまって階段から転んでしまったこともありました。
その時も、心配されるより、
「注意が足りない! ボ~ッとしているからだ!」と叱られたように思います。(笑)

あの勢いのある音は、若々しい息吹の音を感じます。
若い人と一緒に暮らしている実感があります。
暮らしの音に安心する。
誰かの咳払いの声にほっこりする。
そんなことをしみじみと感じるのは、それなりに齢を重ねた証拠でしょうか。

階段 小川千賀子 ブログ