袖擦りあうも多生の縁

 小さな町の電車に乗りました。 

各駅停車のゆっくり走る電車です。 

利用者は、学生さん、子ども連れのお母さん、 

買い物袋を抱えたおじいちゃん、おばあちゃん。様々です。 

窓際の席に座り、ぼんやりと窓の外を眺めていました。 

「ちょっとごめんなさいね。」 

大きな買い物かごを下げたおばあちゃんがお向かいに座り、その横にもうひとり。私の横にもうひとり。 

3人は、にこにこと話を始めました。 

「私ね、折紙を教えているんですよ。」 

「へぇ~。どこで?」 

「○○公民館とかで。いろいろと今まで賞をもらっていてね、頑張っているんですよ。 

もう年ですけど・・・。(笑)。 

こう見えて72歳なんですよ。」 

「でも肌が艶々よねぇ~。」 

賑やかなおしゃべりが続いた後、駅に到着。 

一人の方が、 

「あ~、楽しかった。どうもお邪魔さまでした。(私に向って)うるさかったでしょう?ごめんなさいね。」 

 列車で隣に座ったご縁だけで、こんなにも楽しい一駅の旅ができる先輩たちは素敵です。 

お年を重ねた方ほど、列車から降りる際、 

「おさきに。」と声をかけられます。 

日本のいいところ、見習いたいと思いました。 

電車