おじぎ

 たまたま通りかかった通りで、お年を召した女性が、タクシーに 

向かって何度も何度も深くおじぎをしていらっしゃいました。 

見ると、小さな身体に、いくつもカバンと袋を抱えておられます。 

立っておられる所は、病院の前でした。 

お身内の方がどなたか入院されているのでしょうか。 

あれこれと入院の為の物を急ぎ家から持って駆けつけたのでしょうか。 

一人で立っておられるところを見ると、とにかく一人でなんとかしなくてはならない状況なのでしょう。 

あれだけの荷物を、あのご年齢で、しかもお一人で持ってく来るとなると、やはりタクシーに頼らざるを得ません。 

タクシーを降りた後も、ずっとタクシーの運転手さんに何度も頭を下げてお礼を言っているようでした。 

運転手さんも同じように頭を下げておられます。 

そして・・・・・ 

タクシーの姿が見えなくなるまでずっとおじぎをしながら見送っておられました。 

タクシーはまるで照れたかのように、すぐそばの小さな路地に入りこんでしまいました。 

ちょっと見とれてしまいました。 

何があったかはわかりませんが、あのお年を召した女性にとっては、本当にありがたいことがあったのでしょう。 

助かる事があったのでしょう。 

おじぎを何度も何度もしたくなるほど感謝していたのでしょう。 

事情はわかりませんが、とてもあたたかな気持ちになりました。 

家を造ってくれる大工さんに対して、 

私は同じ思いになります。 

汗を流し、その手で、そこに住む人の安全と安心と幸せをカタチ創ってくれるのですから。 

そういえば、あのタクシーの運転手さんと同じようです。 

お礼を言うと、すぐに照れて、いなくなっちゃう。(笑) 

もっと好きになっちゃいますね🎶